お茶の時期

葉茶は壷中にある半年の間に香りを生じて、本質の緑色となって風味最高の時季となります。


現在はこれも需要が多くなり、半年の余裕を持たせるだけの品は残らず、本来の緑茶になるまでに新茶を販売せねばならぬように、消費量と生産が平均のとれぬ所があります。


茶の菓子もお茶と同じように、11月ごろから翌年一刀ごろまでにかけて、風味最高のものができて、口切の茶と調和して、この季節の催しはまったく多く茶道界のお正月のようなものです。


その秋から冬にかけては、菓子の原料の五穀類の収穫期でもあって、穀物の香りも高く力もあります。


したがって菓子の材料の自然の風味も良く、小豆などの色も淡く、皮も若く柔らかい時で、小倉飴にしてもその皮の舌ざわりよくて餌と同じように溶解する風味は客をたいへん喜ばせます。


菓子の調味は製する品に味を添えるのです。


その原料である五穀類その他いずれも自からの一味を持っていますから、調味ということは、その物の本質をよく研究した上でなければならない、ただ無意味に調味することは白然の味を失うからです。


利休居士の逸事・逸話などは数多く伝えられていますが、その中で最も極意として、いかにも面目躍如としたものに、


「茶の湯は平素にあり 即ち渇し来る者には茶を供し


餓し来る者には飯を呈し 清談を遷す これを真の茶の湯」


・・・と道破されたことがあり、あらゆる行儀はここから始まってくるのでしょう。


これはティーバッグのお茶がある現代にも通ずることであるとわたしは思います。

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